新田清信さん

山椒を収穫する男性

ぶどう山椒を栽培する「きとら農園」の新田清信さんにお話を伺いました。

東京から戻り、ぶどう山椒の最年少農家に

——ぶどう山椒農家として就農されるまではどちらで生活されていたのでしょうか。

出身は有田川町の清水地域で、中学校までは清水地域に住んでいました。
高校は遠方の和歌山市の高校へ進学したので下宿生活を送り、大学生活は愛知県で過ごしました。卒業後は自衛隊勤務を経て10年近く東京で働いていたのですが、結婚を機に2011年に和歌山に戻ってきました。

 

——就農に際しての準備は東京にお住まいのころから進められていましたか。

和歌山に戻る5年ほど前から園地の購入や整備を地元にいる両親や弟と連携して進めていたので、戻ってきたタイミングである程度収穫できるようになっていました。私自身東京に住んでいる間も苗を植えたり、草刈りをしたりと和歌山に戻っては畑の世話をしていましたね。

 

——実際に就農してみていかがでしたか。

就農した当初は山椒の値段が大変安い時期だったので、このままやっていけるのだろうかと心配しました。幸いなことに山椒の値段が徐々に上がっていったので、事業としての見通しがたつようになりました。
収穫した山椒は卸しのほか、ネットショップも活用していて、2020年からは実山椒と乾山椒、それに希少価値の高い花山椒を販売しています。花山椒はミシュラン二つ星を獲得している都内のフレンチ「Florilege (フロリレージュ)」でも使用されるなど、多方面から好評をいただいています。


——ちなみに「きとら農園」という屋号の由来は何でしょう。

有田川の源流は世界遺産で弘法大師空海が開創した高野山です。有田川町も空海伝説の色濃く残る地で、当園付近でもかつて空海が祈祷をし、田を開いたと伝わっています。そこからこのあたりは祈祷田(きとうだ)と呼ばれるようになり、その名が訛り「きとら」という地名になったそうです。それにちなんで「きとら農園」と名付けました。

ぶどう山椒商品

きとら農園が販売する「ぶどう山椒(粉山椒)」

園地の桑の樹を生かして「桑の葉茶」の販売も

——山椒+Xの取組にも取り組まれていると聞きましたが、どういったことでしょうか。

就農に際して購入した畑が元々は養蚕業が盛んな場所で、当時餌にするために植えた桑がそのまま残っていたんです。葉の収穫時期が9月と山椒の収穫時期と重ならないことからこれを使わない手はないと「桑の葉茶」として製品化し、ネットショップや道の駅で販売しています。
県内でも桑の葉茶の業者が珍しかったことから、多くの機会をいただき、県の認定する優良県産品「プレミア和歌山」にも選ばれています。また、山椒や桑の葉茶の収穫がない冬場は庭師としても仕事をしています。

炒った桑の葉をもつ新田さん

炒った桑の葉をもつ新田さん

——今後の展望などをお聞かせください。

現在産地で最も若い生産者が私なのですが、後に続く就農者の方の道しるべになれればと思っています。具体的にはぶどう山椒の販売ルートの開拓などを通して産品としての価値をさらに高め、桑の葉茶や庭師など「+X」の取り組みを交えることで若年者が家族を養いながら働けるぶどう山椒農家のスタイルを示せればと思います。
 

——ぶどう山椒農家の先輩として就農を考えている方にメッセージをお願いします。

ぶどう山椒はこれからさらに広がりの見込まれるスパイスだと思いますが、現実には農家が既存ルートのみに出荷するだけでは食べていくことが難しいです。山椒+Xのなりわいで生活を組み立てることをイメージしてもらえればと思います。
また、就農までに何度も地域に入り、農地の確保や収穫までを見通したプランをたてておくことが重要だと思います。有田川町は日本一の山椒の産地ですが、生産者で私の次に若い方は60代です。日本一の産地を守り、さらに産地を発展させていく担い手になりませんか。

関連リンク

きとら農園

所在地:和歌山県有田郡有田川町清水757

電話番号:0737-22-7074

このページに関するお問い合わせ

商工観光課(移住担当)
〒643-0153 和歌山県有田郡有田川町大字中井原136-2

電話番号:0737-22-4506(直通、平日8時30分~17時15分)
電話番号:0737-52-2111(代表)
ファクス:0737-32-9555
​​​​​​​
メールフォームによるお問い合わせ

更新日:2020年07月16日