宮尾隆弘さん

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有田川町水尻で家具製造・販売を行う「SIL(エスアイエル))」。店主の宮尾さんにお話を伺いました。

捨てられていくものに新たな命を

—SILを開業されるまではどのようなきっかけがあったのでしょうか。

以前は、全く異なる分野で18年ほど勤めていたのですが、仕事で体調を崩したのがきっかけに起業を決意しました。
自分はスポーツもしていたし、健康には自信があったんです。けれど、ある朝、発作が起こり病院で受診しました。ストレスで心臓の血管が痙攣するという病気になり、医師からは『運が悪ければ死ぬことも・・・』と言われて改めて「生きる」という事の意味を自分なりに真剣に考えました。誰の為に生きるのか?何の為に生きるのか? これからは楽しく仕事をしたい!と思いこれまでの生活を一変しようと決意しました。

そんな時に廃棄されていくパレットと、同じく廃棄される予定だった木工機械たちと出会いました。体を壊してしまって役に立てない自分と、廃棄されていくパレットたちが、自分の経験や想いと重なったんです。
このまま捨てられていくんじゃなくてもう1回、誰かに大事に使ってもらえるようになればいいなとパレットのアップサイクル業をはじめることにしました。

 

——家具づくりというと専門的なイメージがありますが、どのように起業の準備を進められたのでしょうか。

元々木工や機械類に興味はあり、趣味で作ることはあっても専門学校で学んだことも職に就いたこともありませんでした。なのでわからないことは、大工・家具店を生業にされている方の所へ実際行って教えてもらいました。
同業者の方に開業前に話を聞こうと県内で探したのですが見つけられず、大阪の事業者さんを見つけ、次の日には話を聞きに行きました。そこの社長さんからのお言葉「人生かっこつけて生きやな」を聞き、自分の小ささを痛感しました。他人の目を気にして生きていくスタイルを捨て、自分のやりたい事をやって生きようと思いました。

また、地元有田川町の先輩や仲間の支えもあり起業することが出来ました。

 

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物を大事にする人は、人も大事にできる。

——SILのものづくりのコンセプトを教えてください。

今の世の中は、壊れたら捨てて新しいものを買う、という考え方があるけれど、なんか、そういうのは僕自身が嫌で。どんな物でも長く、メンテナンスしながら、大事に使いたいなという考えをもっています。

イスで使っている廃材も、1本1本だったら捨てられて行くもの。それを合わせると一つの強い物になって、商品になる。そういうコンセプトで家具づくりをしています。
物を大事にしない人は、人も大事にしない・出来ないってすごく思うんです。どんな物もというと言いすぎかもしれないですけど、ほとんどの物が修理やメンテナンスしたら、長く使えると思います。
自分が思ってるより長く使えるんで、それをもうちょっと知ってもらえれば。物も、人も大事にしたら、それだけ長く一緒に居られるでっていうのを意識しています。うちの工場もこの考えを実践できればと使われなくなった農業倉庫を借りて、廃業する建具店から譲り受けた加工機を使っています。

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——有田川町で起業してよかったことを教えてください。

やっぱり人のつながりが魅力的かなと思います。起業前の相談から始まり、今でも自分のやりたいことのイメージを伝えると、みんなアイデアをくれます。
繋がれるだけみんなと繋がってやろうと思っていますね。その方が絶対楽しいし、いいものがつくれると思います。自分の周りには素晴らしい人材が沢山居る事が起業してすごく良くわかりました。

 

——これからの抱負を教えてください。

屋号のSILは「Smile Is Life」に由来しています。
起業にあたってこれからどうしたいかを改めて考えたら、これからは笑っていたいなと思って、それをそのまま名前にしました。
これからも楽しみながら自分の力で拾えるものがあれば、新たな命を吹き込んで、誰かに喜ばれる存在にできればいいと思っています。

 

関連情報

SIL

所在地:和歌山県有田郡有田川町水尻567

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更新日:2020年05月29日