○有田川町景観条例
平成24年9月28日
条例第31号
目次
前文
第1章 総則(第1条―第6条)
第2章 景観計画(第7条―第9条)
第3章 行為の規制(第10条―第16条)
第4章 景観重要建造物及び景観重要樹木(第17条・第18条)
第5章 有田川町景観づくり協定(第19条)
第6章 有田川町景観審議会(第20条・第21条)
第7章 雑則(第22条)
附則
有田川町の景観は、緑なす紀伊山地や長峰山脈、白馬山脈の山々、変化に富んだ有田川とその支流により骨格が形成されている。有田川町では、有田川流域の独特の地形に造成された棚田や段々畑など美しい農林業の景観が保たれ、その中に点在する集落や市街地の落ちついたたたずまい、歴史的文化遺産などが一体となって、有田川町らしい景観が形づくられてきた。
これらの有田川町らしい良好な景観は、人々の生活や生業の中で育まれ、支えられ、継承されてきたものである。私たちはこれらの取組に敬意を表しながら、身近なところに当たり前のようにある有田川町らしい景観の価値に気付き、その成り立ちを丹念に読み解き、共有していく過程を通じて保全し、創造し、次代に引き継いでいかなければならない。
このような認識の下に、町、町民、事業者及び来訪者が協働し、有田川町らしい良好な景観の形成を図っていくものとし、この条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、有田川町の良好な景観の形成に関し基本となる事項及び景観法(平成16年法律第110号。以下「法」という。)の施行に関し必要な事項を定めることにより、美しく風格のある町土の形成、潤いのある豊かな生活環境の創造及び個性的で活力ある地域社会の実現を図り、もって町民生活の向上並びに地域経済及び地域社会の健全な発展に寄与することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において使用する用語は、法において使用する用語の例による。
(町の責務)
第3条 町は、法第2条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、良好な景観の形成に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、これを実施するものとする。
2 町は、地域の特性に応じた良好な景観の形成に配慮して、公共用又は公用の施設の設置に関する事業を実施するものとする。
3 町は、良好な景観の形成に関する県の施策との連携に努めるとともに、町民及び事業者の主体的かつ積極的な取組が促進されるよう必要な支援を行うものとする。
(町民の責務)
第4条 町民は、基本理念にのっとり、良好な景観の形成に関する理解を深め、良好な景観の形成に積極的な役割を果たすよう努めるとともに、町が実施する良好な景観の形成に関する施策に協力しなければならない。
(事業者の責務)
第5条 事業者は、基本理念にのっとり、土地の利用等の事業活動に関し、良好な景観の形成に自ら努めなければならない。
2 事業者は、地域社会の一員として、町が実施する良好な景観の形成に関する施策に協力しなければならない。
(啓発及び支援)
第6条 町は、町民及び事業者の景観に関する意識を高めるための啓発に努めなければならない。
2 町長は、良好な景観の形成に重要な建造物又は樹木の所有者に対し、その保全のための技術的援助その他必要な支援を行うことができる。
3 町長は、前項に定めるもののほか、良好な景観の形成に寄与すると認められる活動をしようとする者に対し、技術的援助その他必要な支援を行うことができる。
第2章 景観計画
(景観計画の策定)
第7条 町長は、良好な景観の形成を推進するため、法第8条第1項に規定する景観計画(以下「景観計画」という。)を定めるものとする。
2 町長は、景観計画区域(法第8条第2項第1号に規定する景観計画区域をいう。以下同じ。)のうち、良好な景観の形成を推進する上で重要であると認める区域を景観重要地域として定めることができる。
3 法第8条第2項第2号の良好な景観の形成のための行為の制限に関する事項は、景観重要地域の区域及び当該区域以外の景観計画区域ごとに定めることができる。
(景観計画の策定の手続)
第8条 町長は、景観計画を定めようとするときは、あらかじめ、有田川町景観審議会の意見を聴かなければならない。
2 前項の規定は、景観計画の変更について準用する。
(計画提案を踏まえた景観計画の策定等をしない場合の手続)
第9条 町長は、法第14条第1項の規定による通知をしようとするときは、あらかじめ、当該計画提案に係る景観計画の素案について有田川町景観審議会の意見を聴かなければならない。
第3章 行為の規制
(届出対象に追加する行為)
第10条 法第16条第1項第4号の条例で定める行為は、次に掲げる行為のうち規則で定める行為とする。
(1) 土地の開墾、土石の採取、鉱物の掘採その他の土地の形質の変更
(2) 木竹の植栽又は伐採
(3) 屋外における土石、廃棄物(廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)第2条第1項に規定する廃棄物をいう。)、再生資源(資源の有効な利用の促進に関する法律(平成3年法律第48号)第2条第4項に規定する再生資源をいう。)その他の物件の堆積
(4) 水面の埋立て又は干拓
(5) 夜間において公衆の観覧に供するため、一定の期間継続して建築物その他の工作物又は物件(屋外にあるものに限る。)の外観について行う照明
2 前項の行為に係る法第16条第1項の規定による届出は、同項に規定する事項を記載した届出書に、規則で定める図書を添付して行わなければならない。
(届出対象から除外するその他の行為)
第11条 法第16条第7項第11号の条例で定める行為は、次に掲げる行為とする。
(1) 法第16条第1項の届出を要する行為のうち規則で定める規模以下のもの
(2) 他の法令又は条例の規定に基づき、許可若しくは認可を受け、又は届出若しくは協議をして行う行為のうち、良好な景観の形成のための措置が講ぜられるものとして規則で定めるもの
(3) 前2号に準ずるものとして規則で定める行為
(特定届出対象行為)
第12条 法第17条第1項の条例で定める行為は、法第16条第1項第1号及び第2号に掲げる行為のうち、届出を要する行為とする。
(勧告の手続及び公表)
第13条 町長は、法第16条第3項の規定による勧告をしようとするときは、あらかじめ、有田川町景観審議会の意見を聴くことができる。
2 町長は、法第16条第3項の規定による勧告を受けた者が、正当な理由なく、その勧告に従わないときは、規則で定めるところにより、その旨を公表することができる。
3 町長は、前項の規定による公表をしようとするときは、あらかじめ、当該公表に係る者に対し、意見を述べる機会を与えなければならない。
(変更命令の手続)
第14条 町長は、法第17条第1項の規定により必要な措置を講ずることを命じようとするとき又は同条第5項の規定により原状回復若しくはこれに代わるべき必要な措置を講ずることを命じようとするときは、あらかじめ、有田川町景観審議会の意見を聴かなければならない。
(行為の着手の制限期間の短縮)
第15条 町長は、法第16条第1項又は第2項の規定による届出があった場合において、同条第3項の規定による勧告をする必要がないと認めるときは、当該届出をした者に法第18条第2項の規定により期間を短縮する旨の通知をしなければならない。
(工事完了の届出)
第16条 法第16条第1項の規定による届出をした者は、当該行為に係る工事の完了後、規則で定めるところにより、速やかに町長に届け出なければならない。
第4章 景観重要建造物及び景観重要樹木
(景観重要建造物及び景観重要樹木の指定等の手続)
第17条 町長は、法第19条第1項に規定する景観重要建造物(以下「景観重要建造物」という。)又は法第28条第1項に規定する景観重要樹木(以下「景観重要樹木」という。)を指定しようとするときは、あらかじめ、有田川町景観審議会の意見を聴かなければならない。
2 前項の規定は、法第27条第2項の規定による景観重要建造物の指定の解除又は法第35条第2項の規定による景観重要樹木の指定の解除について準用する。
(原状回復命令等の手続)
第18条 町長は、法第23条第1項(法第32条第1項の規定において準用する場合を含む。)の規定により原状回復を命じ、又はこれに代わるべき必要な措置を講ずるべき旨を命じようとするときは、あらかじめ、有田川町景観審議会の意見を聴かなければならない。
第5章 有田川町景観づくり協定
(有田川町景観づくり協定)
第19条 おおむね一団の土地(公共施設の用に供する土地を除く。)の区域内の土地の所有者及び借地権を有する者並びに当該おおむね一団の土地における良好な景観の形成のための活動(以下「景観づくり」という。)を行う者及び行おうとする者(以下「景観づくり従事者」と総称する。)は、その区域における景観づくりに関する協定を締結し、当該協定について町長の認定を受けることができる。
2 前項の協定には、次に掲げる事項を定めるものとする。
(1) 協定の目的となる土地の区域
(2) 景観づくりのための次に掲げる事項のうち、必要なもの
ア 建築物の形態意匠に関する基準
イ 建築物の敷地、位置、規模、構造、用途又は建築設備に関する基準
ウ 工作物(建築物及び屋外広告物を掲出する物件を除く。以下同じ。)の位置、規模、構造、用途又は形態意匠に関する基準
エ 建築物又は工作物の保全又は利用に関する事項
オ 農用地の保全又は利用に関する事項
カ 樹林地、草地等の保全又は緑化に関する事項
キ 屋外広告物の表示又は屋外広告物を掲出する物件の設置に関する基準
ク その他景観づくりに関する事項
(3) 協定の有効期間
(4) 協定の変更又は廃止の手続に関する事項
3 第1項の認定を受けようとする景観づくり従事者は、規則で定めるところにより、町長に申請しなければならない。
(1) 法令の規定に違反するものではないこと。
(2) 土地、建築物又は工作物の利用を不当に制限するものではないこと。
(3) 前2号に掲げるもののほか、規則で定める基準に適合するものであること。
5 町長は、第1項の認定をしたときは、遅滞なく、その旨を公表するものとする。
第6章 有田川町景観審議会
(設置)
第20条 町長の附属機関として有田川町景観審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、この条例によりその権限に属させられた事項を調査審議するほか、良好な景観の形成に関する事項について、町長の諮問に応じて調査審議するものとする。
3 審議会は、良好な景観の形成に関する事項について、町長に意見を述べることができる。
(組織)
第21条 審議会は、委員15人以内で組織する。
2 委員は、良好な景観の形成に関し優れた識見及び経験を有する者のうちから、町長が委嘱する。
3 委員の任期は、2年とする。ただし、委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
4 委員は、再任されることができる。
第7章 雑則
(規則への委任)
第22条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附則
(施行期日)
1 この条例は、平成24年11月1日から施行する。